|
猪苗代町の渡部産業(渡部寛規社長)は、アグリビジネスへの参入を決め、16年度から本格着手した。新規事業参入計画が国土交通省の「地域における中小・中堅建設業の企業連携・新分野進出モデル構築支援事業」に選定され、調査・計画策定費など関連経費の一部が支援されることとなった。
同社は、土木建設業を主体として営んでいるが、公共工事の大幅な削減をはじめとした建設投資の落ち込みにより、本業の経営環境が厳しくなる中、土石採取販売業及び産業廃棄物中間処理業(中間焼却処理業、中間破砕処理業)を業に加えて経営努力を図ってきた。
しかし、近年の公共事業の激減により、さらに経営環境の悪化が予想されることから、労働力の余剰化、経営基盤の弱体化を避けるために03年から新規参入を社内で検討。渡部寛規社長は、「当社がこれまで培ってきたノウハウを活かせる分野であるとともに、猪苗代町の地域特性、国内の食料自給率向上が国策でもある<農業分野>が有望」との結論に達し、アグリ事業部を新規に立ち上げ、同社所有地において準備を進めてきた。渡部社長は、県建設業協会青年部に所属しており、「青年部主催の北海道先進事例視察研修も決断を後押しした」と語る。
始めに取り組むのは「ほうれん草のハウス栽培」。16年度は、ほうれん草用のハウス4棟を設置し、05年春の作付けへ向けて準備を進めている。渡部社長によると、「ほうれん草は土作りが難しい」とのことだが、まずこの土作りで同社の保有機械及び技術力が発揮される。同社は土砂分流機「パワースクリーン」を保有しており、「土作りに関してはこれを活用することにより、栽培に最適な土作りができる」(渡部社長)。

労働力に関しては、当初段階では専任2名を配置するとともに、年4回の収穫期には15名程度の社員を振り向ける計画。徐々に規模も拡大する意向。
「管理技術に関しては、工程管理を始めとして建設業で手馴れている強みがある。土壌や気象など農業分野におけるデータ収集等にも生かされる。施設整備にあたってもノウハウがある」とし、自信を覗かせる。
また、同社所有の中間焼却処理施設の温熱を利活用した水耕栽培も計画している。ほうれん草用ハウスに隣接して軽量鉄骨造のハウスを新設し、焼却施設から排出される熱エネルギーをパイプラインでハウス内に供給し、メロンやキノコ等の水耕栽培を検討する。
渡部社長は、「今回のモデル事業選定により、温度調節をはじめとした熱利用システムに関したノウハウの提供に期待している」と述べるとともに、地域の農家とのタイアップ及び販路に関してはJAとの協力関係で進める考えで、建設業をはじめとした自社のノウハウと地域連携による新たなアグリビジネスに挑戦する。
|