◆福島県の入札制度/平成20年度改正のポイント

  福島県の入札制度は、前知事の逮捕に至った事件を受けて、19年度に大きく変わった。工事においては指名競争入札を全廃し、250万円超はすべて条件付一般競争入札が導入されるとともに、総合評価方式の拡大試行、施工体制事前提出方式(オープンブック)及び電子入札の試行も始まった。急激な改革に伴い、品質確保が懸念される低価格入札の横行などさまざまな問題を受けて、20年度は指名競争入札及び予定価格事後公表の一部試行も始まるほか、測量等業務委託に係る入札契約方式も改革が始動する。主な新年度の改正点を改めてまとめてみた。

工事の契約方式

 工事に係る契約方式は、250万円超については条件付一般競争入札を柱とするとともに、災害時の応急対応など緊急時に係るものについては、随意契約を採用するこれまでの方針に変わりはない。
 しかし、最低制限価格を狙った低価格入札が増加しているほか、段差解消や側溝改修など、地域密着型の小規模工事であるにも関わらず、入札の手続き期間が長く着工までに時間を要し過ぎるなどの住民からの苦情、応札者なしや入札参加者が1社といったケースが発生していることから、指名競争入札を20年度1年間において一部試行し、指名競争入札のメリット部分を活かした制度運用について検証する。
 試行の対象は、農林水産部及び土木部が発注する予定価格1000万円未満の工事に限定する。工事の総発注件数3000件程度のうち、1000万円未満は1300件程度あり、そのうちの概ね300件程度を抽出して試行する。
 指名業者選定は、建設事務所などの発注機関ではなく、出納局(出納室)が事務局となっている地方入札参加条件等審査委員会が行う。
 指名業者数は「9名以上」とし、案件ごとランダムに設定し、指名業者の類推を難しくする。例えば、工事箇所の地区内に対象となり得る業者が13社いれば、13社すべてを指名する場合もある。非公表とする指名業者を探ろうとする行為に関しては、入札参加資格制限措置を取る。
 試行後については、県が試行結果を検証し、その後の方針案を入札制度等監視委員会に諮る予定となっている。

業務は多様な入札

 工事に係る測量・設計・調査等の業務委託の入札制度については、これまでは指名競争入札を中心としてきたものの、新年度からは条件付一般競争を段階的に試行開始するほか、公募型プロポーザル方式等の技術提案審査型、総合評価方式についても試行を開始する。
 条件付一般競争入札の試行は、歩掛や仕様書等が定められている航空測量や路線測量、道路や河川の設計、補償調査や土質調査等の中から抽出し、段階的に試行する考え。
 参加資格要件の設定については、登録種別が大括りとなっていること、格付を行っていないことなどから、地域要件のほか実績要件を付す。
 地域要件については、県内業者活用を原則としつつ、業務内容や規模に応じて管内、県内、全国等に分けて設定する。
 実績要件に関しては、企業としての同種・類似・同規模業務の実績のほか、配置予定技術者の資格、実績要件も付す。
 新年度の試行については、300万円以上の業務を対象とし、農林水産部及び土木部発注の1割程度を抽出する。総発注件数2000件程度のうち、300万円以上は800件程度となっており、初年度はその1割の80件程度となる見通し。
 公募型プロポーザル等の技術提案審査型及び総合評価方式に関しては、標準的な仕様が定められていないものを対象とする。プロポーザルは、すでに実績のある建築設計業務を再度検証し、他業務への適用を試行する方針。
 試行にあたっては、農林水産部及び土木部所管業務の中から抽出し、設計や調査等で試行する見通し。
 一方、業界からの要望が強かった最低制限価格制度及び低入札価格調査制度については、新年度からの導入は見送られ、継続課題として今後も検討することとされた。
 その理由について県は、適切な条件設定により不良不適格業者による過度な安値受注を防止できるとみているほか、業務委託の積算体系が工事のように詳細なものとなっていないため、基準価格設定の根拠が不明瞭になってしまうとしている。

失格基準

 工事においては、最低制限価格制度のほか、WTO案件及び総合評価方式案件で低入札価格調査制度を適用しているが、最低制限価格は1月10日以降起工分から設定水準を平均で約6%(約4%〜約8%)引き上げるとともに、新年度からは低入札価格調査制度にも失格基準を設ける。
 これは、行き過ぎた価格競争の是正を図り、工事の品質低下につながるリスクの回避、中間検査や重点監督など行政コストの増加を抑制するための措置。両制度とも、設定方法や金額は非公表とされている。
 なお、低入札価格調査で落札した場合は、中間検査や重点監督を引き続き行うとともに、新たに、契約保証金は10%から30%への引き上げ、前払金は請負代金額の4割から2割に低減する。また、配置技術者は2名配置を義務化する。

予定価格公表

 県は、工事に係る予定価格は16年度から事前公表に全面切替しているが、予定価格を目安とし、積算せずに参加する業者の存在や、最低制限価格が類推され、低入札発生の要因となっているなどの指摘を受け、新年度において事後公表の一部試行に踏み切る。予定価格を探ろうとする不正な接触、再度入札の状況等を検証し、その後のあり方を検討する。
 試行対象は、農林水産部と土木部が発注する条件付一般競争入札の中から、10%(概ね300件)程度で実施する計画。対象工事の選定基準は設けず、再度入札があり得ることを踏まえて、工期設定にある程度余裕のあるものから抽出する。規模で限定せず、幅広い工種、発注区分で実施する方針。
 なお、予定価格を探ろうとする不正な接触に対しては、入札参加資格制限措置を取る。

総合評価方式

 18年度から試行している総合評価方式に関しては、簡易型及び標準型の加算点を増やすほか、新たに小規模工事を対象とした特別簡易型を導入し、19年度の84件に対し、300件程度に大幅に件数を拡大する。
 加算点の改正は、価格以外の評価割合を高めるため、簡易型は現行10点を30点、標準型は現行20点または30点を50点または70点に増やす。これにより、価格逆転件数を増加させたい考え。
 評価項目については、企業の地域社会に対する貢献度のうち、県内業者の活用は0・5から1・0、本店所在地は0・5から1・5、同一市町村内の施工実績は0・5から1・0、ボランティア活動は4・0から2・0に改正し、新たに「除雪・維持補修業務委託(単契)の受注実績」を1・0、「災害時の出動実績」を1・0加点する。また、「技術者確保数」について、新たに国家検定の技能士活用を加点(0・5)追加するほか、配置予定技術者の「資格保有年数」をこれまでの20年以上から10年以上に緩和する。
 両タイプに加えて、新年度は1000万円以上3000万円未満の小規模工事を対象として、事務負担を軽減する「特別簡易型」を導入する。加算点は最大で10点。
 評価値の算出については、今年度土木部が試行した「基準価格設定型」を全工事に適用し、一定額未満の入札価格の評価を足切り≠キる。
 試行件数については、標準型は2億円以上の工事とし、農林水産部で10件程度、土木部で20件程度、合計30件程度、簡易型は3000万円以上2億円未満工事とし、農林水産部で50件程度、土木部で100件程度、合計150件程度、1000万円以上3000万円未満で新規導入する特別簡易型は農林水産部で40件程度、土木部で80件程度、合計120件程度、総合評価方式は全体で300件程度試行する方針。両部以外においても、営繕工事を中心に試行させる考え。

電子入札

 今年度から一部導入開始した電子入札についても、新年度は対象を拡大する。
 工事については、総合評価方式及び随意契約を除き、4月からは1億円以上すべて、6月以降は5000万円以上1億円未満のすべてまで拡大する。
 また、測量等業務委託についても導入を開始する。新年度は、6月以降に指名通知または公告する500万円以上すべてを対象として、導入する。
 電子入札案件については、今年度と同様に紙入札での参加は認めない。参加するためには、電子入札コアシステム対応のICカード等の購入及び利用者登録等を行う必要があるため、拡大にあたっては準備期間も考慮し、6月以降からの実施とした。利用者登録等については県ホームページ参照。
 また、今年度内に2件試行する施工体制事前提出方式(オープンブック)についても、新年度以降も試行を継続する見通し。