◆財務統計指標から見た福島県の建設業の分析(平成18年度決算分析)/東日本建設業保証福島支店

 当社では、建設業界の皆様の経営にお役立ていただくため、取引企業の財務内容を「建設業の財務統計指標」として発表しています。
 この度、東日本23都県の建設企業2万8881社(土木建築=3673社、土木=1万3915社、建築=3556社、電気=3190社、管=4547社)、うち福島県内企業1151社(土木建築=192社、土木=538社、建築=130社、電気=119社、管=172社)を集計・分析し、平成18年度決算分析版を制作しました。
 なお、平成18年度決算分析から異常値の排除の方法を、従来の「上下3σ(標準偏差)排除法」では下層の部分がより多く排除されることから、「上下1%排除(1%トリム平均)法」に変更しました。このため、昨年度までの公表値と異なることになりますので、新たに平成13年度から新方式で計算し直し、今回発表しています。

 収益性の総合指標である「総資本経常利益率」の推移を見ると、東日本平均が13年度から16年度まではプラスで推移し、17年度からマイナスになったのに対して、福島県平均は15年度以降4年連続してマイナスとなっている。
 また、福島県平均は、東日本平均と比べてもマイナス幅が大きく、県内企業は厳しい経営環境に置かれていることが分かる。

 福島県内企業の「総資本経常利益率」を業種別で比較すると、土木工事業が▲1・89%、建築工事業が▲0・30%とマイナスであるのに対して、土木建築工事業が0・42%、電気工事業が0・22%、管工事業が0・29%とプラスとなっている。
 土木工事業が大幅なマイナスとなっており、厳しい経営に直面している企業が多いことが窺われる。また、福島県平均を押し下げているといえる。

 福島県内企業の「総資本経常利益率」を売上高規模別で比較すると、1億円未満の階層が▲2・65%、1〜5億円の階層が▲0・54%とマイナスであるのに対して、5〜10億円の階層が1・07%、10〜30億円の階層が1・57%、30億円以上の階層3・51%とプラスとなっている。
 1億円未満の階層が大幅なマイナスとなっており、厳しい経営に直面している企業が多いことが窺われる。一方、30億円以上の階層は3%を超える利益率を確保していることが分かる。
(注)売上高規模別の企業は、1億円未満354社、1〜5億円585社、5〜10億円107社、10〜30億円81社、30億円以上24社となっている。

 「売上高営業利益率」は売上高に対する営業利益の割合であるが、東日本平均、福島県平均とも13年度から6年連続してマイナスで推移している。営業利益は本業での儲けであるが、本業で利益を出しにくい経営環境にあるといえる。
 特に、福島県平均は、いずれの年度もマイナス1%を上回っており、東日本の他都県と比べても非常に厳しい経営を余儀なくされているといえる。

 生産性指標である「1人当り完工高」の推移を見ると、13年度は2252万円であったが、16年度には1902万円(13年度を100として84・5の水準)まで減少したが、17、18年度は増加し、1973万円まで回復した。
 「1人当り付加価値」は、13年度は923万円であったが、以後減少傾向で推移し、18年度には769万円(13年度を100として83・3の水準)まで減少している。
(注)付加価値は企業が事業活動を通じて新たに生み出した価値である。計算式は、付加価値=売上高−外部購入価値となっている。

 健全性の代表指標である「自己資本比率」の推移を見ると、東日本平均が13年度24・70%、14年度25・56%と推移したが、16年度以降は26・08%、26・57%、26・18%、26・37%と26%台にとどまっている。
 一方、福島県平均は15年度の28・21%をピークに17年度には26・96%まで低下したが、いずれの年度も東日本平均を上回っている。

 福島県内企業の「自己資本比率」を業種別で比較すると、一番低いのが建築工事業の21・11%、次いで土木工事業の23・91%となっており、この2業種が20%台前半となっている。
 一方、土木建築工事業が31・44%、管工事業が31・93%、電気工事業が37・21%となっており、30%台を維持していることがわかる。

 福島県内企業の「自己資本比率」を売上高規模別で比較すると、1億円未満の階層が12・81%となっており、福島県平均27・42%を大きく下回っている。
 また、1〜5億円以上の4階層がいずれも30%台となっており、1億円未満の階層において他の階層と比べ大きく自己資本が少ない資本構造となっていることが分かる。

 県内建設企業は、建設市場の縮小などもあり、売上高営業利益率は6年連続してマイナスとなっている。また、総資本経常利益率は4年連続してマイナスとなっているなど、赤字経営を強いられている企業が多いことが窺われる。
 特に、業種別では「土木工事業」、売上高規模別では「1億円未満」の企業、つまり土木専業の零細企業が大幅なマイナスとなっている。
 また、自己資本比率でも売上高規模別で「1億円未満」の階層の企業が他の階層と比べ極端に低く、この階層に業績悪化の一層のシワ寄せがきていることが窺われる。
 しかしながら、引き続き建設市場の縮小が続くことになれば、従来黒字を維持してきた企業も赤字経営を余儀なくされることも考えられ、より厳しい状況に追い込まれることは充分に予測される。
 このため、経営の舵取りはますます難しくなってきているといえる。